世界一黒い布「太黒門」が織りなす「黒くて映える暗黒トリックアート水槽」
皆様、こんにちは! コプロ技術・開発担当 ソッシーです。2023年もあとわずかとなってしまいました。
1年が過ぎるのはあっという間ですね。そんな慌ただしい年の瀬ですが、今回も技術報告致します。テーマは以下です。
● 世界一黒い布「太黒門」で究極の「映える暗黒水槽」をあなたのお部屋で実現しよう!!
メダカも映える「暗黒トリックアート水槽」の技術解説
もしかするとメダカの色揚げ効果があるのかも?
世界一黒くて暗い、まるでトリックアートのような水槽をどのようにして作ったかを詳しく解説します。
深海や宇宙空間をも感じる真っ黒、真っ暗な水槽をメダカ達が悠々と泳ぐ姿は感動ものです。メダカが映える事、
間違いありません!! もしかしたらメダカの色揚げもできるかも??
世界一黒い布 「太黒門」だからこそ出来る暗黒の世界です。さあ、あなたも「暗黒トリックアート水槽」にチャレンジ
してみませんか?とにかく、どんな水槽なのか、百聞は一見に如かずです。太黒門を使った「暗黒水槽」Youtube動画
2つをご覧ください。1分弱の動画です。
メダカも映える黒背景水槽を、世界一黒い布「太黒門」で作ってみたらどうなるか?
皆さんの中でペットを飼われている方も多いと思います。私も身近な淡水魚が好きで、
近所の池で獲ったモツゴ(埼玉ではクチボソ)やスジエビを飼っています。水槽を見て
いると心が安らぎますね。ある調査によれば、犬 12.5%、猫 9.7% の割合でペット
として飼われているそうです。そして、3番目がメダカで、3.5% だそうです。更に
メダカファンはどんどん増え続けているそうです。
そんななか、今回注目したのは、メダカ愛好家たちが,「いかにメダカが映える水槽にするか」に苦心され、その中で「水槽背面に黒スクリーンを貼り、メダカが浮き立つ映える水槽」を作りを目指されていると言う
事です。また、メダカの「色揚げ」と言うものがあり、どうやら暗い水槽で飼育すると色が濃く鮮やかになるそうです。
それなら、黒に特化する我々であれば、世界一黒い布「太黒門」って、世界一黒い暗黒で映える水槽を作れるハズと考えました。
「太黒門」なら、バッチリ映える真っ黒な水槽が出来る事、間違い無しです! メダカの色揚げ効果もあればうれしいですが・・
ところが、いざ始めてみると課題山積で、そう簡単には進みませんでした。課題をどうやって克服して行ったかを解説します。
少々長くなりますがどうぞお付き合い下さい。
「市販の黒バックスクリーン」と 「太黒門」の 黒さ勝負
さっそく黒さの比較をするため市販黒スクリーンを購入しました。材質はPVCです。写真①は、市販黒スクリーン と「太黒門」の
写真です。写真①でお分かり頂けると思いますが、「太黒門」は圧倒的な黒です。念のため、社内計測器で反射率測定しました。(グラフA) 市販品は 4.4% で「太黒門」は、0.1%です。「太黒門」の反射率は、市販黒バックスクリーンの
僅か44分の1です。
バックスクリーンを水槽の「内」と「 外」のどっちに付けたほうが黒くなるのか?
黒スクリーンを水槽の外に貼る方式が一般的のようです。しかし、水槽内側の水の中に貼ったらもっと黒くなるのではない
でしょうか? しかし、もともとは「太黒門」を水中で使うことなど全く想定していませんでしたが・・・
水を入れた水槽で、内置きと外置きを隣同士にし、黒さ比較しました。市販品、「太黒門」とも、左側が外で、右側が
水の中です。(写真 ②-1, ②ー2)
ご覧のように、水槽の外では、水槽アクリル面反射が影響し、あまり黒くありません。さらに言えば、その反射がある事で
まるで鏡のようになってしまっています。
確認のため、それぞれの反射率を測定した結果が (グラフB-1, B-2) です。外に置くと「市販品」の反射率は 元々の 4.4%
から 12.2% まで増えます。一方、外に置いた「太黒門」は、「市販品」よりは黒いですが、8.6%もあり、せっかくの黒さが
台無しです。尚、反射率測定の方法ですが、水があると出来ないため、水を入れ無い水槽で測定しました。
以上の結果から、「太黒門」を「水槽内側」に設置すれば一番黒くなります。
ならばと「太黒門」を水槽内に設置したら・・・水槽が「泡」だらけに!!
早速、水槽内側に太黒門を置き、酸素供給エアーを動かし通常使用状態で試験を始めました。メダカは未だ入れていません。
この試験では、あるお客様からも指摘を頂きましたが、半日くらいで、水面が泡だらけになってしまいました。(写真③)
どうやら太黒門から成分が染み出し、その影響で泡が大量発生したようです。このままでは「太黒門」は水の中には入れられ
ません。さて、困りました!?
泡発生をどうやって解決するか?
どうしたら良いかと様々試験を行いました。そして、「水槽設置前に、太黒門を1日間、水に漬けて(リンスして)おくと、泡と
なる成分が太黒門から出てしまい、泡は出無くなる」事が分りました。(写真④-1)は、事前の水浸(リンス)作業の様子、
そして、リンス1日したものの泡発生の確認試験の様子です。(写真④-2)。泡が出なくなった事がお分かりになると思います。
1日リンスで、太黒門の黒さは落ちないのか?
太黒門を1日水に漬けリンスすれば、泡の発生が無くなる事は分かりました。しかし、以下の懸念は残ります。
● 水槽にいれた太黒門の黒さはその後も落ち続けないないのか?
その懸念が実際に起こるのか、リンス時間を変えてみて検証しました。
(1) リンス前 (2) 1日リンス後 そして更に (3) 10日水に漬けた「太黒門」の反射率変化を確認しました。(グラフC)
尚、反射率測定は太黒門を乾燥後行いました。その結果、リンス1日で、反射率は2倍 (0.2%) に増えてしまいます。
しかし、その後、10日経過しても黒さは落ちません。従って、1日のリンス以降、水に漬けておいても黒さは劣化しないと
思われます。
更に、追加の確認として、もし、リンスによる黒さダウンの原因が、「太黒門」からの黒色成分の染み出しであれば、
リンスした水も黒く濁り、更に黒成分が染み出し続けるのならば、長くリンスすればするほど水の黒い濁りが増すと考えました。
上の右側の写真は、「太黒門」リンスに使った水です。上部カットしたペットボトルに水道水を入れ、カットした太黒門を投入し
その濁り・色味を確認しました。
左から2番目は水道水で、無色透明です。そして、左から3番目がリンス24時間後の水です。かりづらいかも知れませんが、
僅かに黒く濁っています。とまり黒成分が染み出しました。
次に、1番右がリンス時間を倍の48時間迄増やしたものです。少し黒く濁ってはいますが、24時間リンスとほとんど同じ
程度の濁りです。よって、リンスを24時間かければ、黒成分染み出しは止まりそうです。念のための確認として、24時間
リンス済の「太黒門」を、再度24時間リンスして、その水が黒く変色するかを確認しました。それが1番左です。結果、
変色は無く、水道水と同じ色味・透明度です。従って、リンス24時間まで黒成分は染み出ますが、以降出ていかないと考え
られます。
以上の確認結果から成分染み出しは1日で終わるので、グラフCのように、10日間長く水に漬けても、太黒門の黒さは
1日リンス品と変わらないのだと考えられます。
黒色成分染み出し以外に黒度が低下する要因はあるか?
リンスによる黒さ低下の要因として、黒成分の染み出し以外もあるか確認するため、顕微鏡で「太黒門」表面を拡大し観察
しました。
(写真⑥-1, -2)は、顕微鏡で「太黒門」を上から見た写真です。リンス「前」 と 「後」 の比較写真です。
それを見ますと、リンス後、白っぽい点がたくさんみられます。これでは反射は当然大きくなってしまいます。
では、白い点は何なのでしょうか? よく見ますと、起毛部繊維が凝集し太くなり、その上面で大きく反射しているようです。
つまり、黒色成分染み出し以外に、起毛部の凝集が反射率を増加させる要因になります。
つまり、水に漬ける事での太黒門黒さ低下の原因は2つあり、
1.黒成分の染み出し
2.起毛部の凝集
です。また、また、10日リンス品の反射率が1日リンス品と変わらない事から、それぞれの事象はリンス1日以内で発生し、
以降は拡大せず、太黒門の黒さはそのまま維持されるという事です。
黒成分以外の染み出しは無いのか?
黒色成分は、リンスの24時間で出切ってしまう事は分りましたが、それ以外の成分染み出しは無いのでしょうか?
確認のため、リンス後の太黒門を更に追加で3日間水に浸し、その水を外部機関で検査して頂きました。試験は以下
2項目です。
・10項目水質試験 (結果;写真⑤-1)
・ヒメダカによる4時間魚類影響試験 (結果;写真⑤-2)
結果はいずれも 「問題無し」でした。また、これとは別に、社内確認のため、1日リンス済太黒門を内側に貼った水槽でメダカ
を飼育しています。3か月経過した現在でもメダカ達は元気に泳いでいます。従って、24時間リンスすれば太黒門を水に入れても水質には問題無いと考えられます。
これでやっと太黒門が水槽内部に取り付けられることが分りました。
「太黒門」の貼付け位置を工夫すれば、もっと黒く(暗く)出来るのでは?
今までの検討で、「リンス済太黒門を水槽の中に入れること」が一番黒く・暗い水槽に出来る事が分りました。(グラフD)
しかし、背面以外にも、例えば左右の側面、下面にも付ければもっと黒くなるハズです。また、試験のため購入した水槽は、
四隅に透明な支柱があり、そこから外部の光が入って来てしまいます。そのため、その光の侵入をカット出来ればより黒く
(暗く)なるハズです。ですから、背面と側面が個別に分かれて支柱部を覆えないタイプより、背面と側面が一体化したものの
方が暗くなるハズです。(写真⑦-1, -2, -3)
水槽の黒さ(暗さ)をどう比較するか?(数値で暗さを比較)
黒さ(暗さ)を比較するには、水槽の暗さを定量化(数値化)する必要があります。
どうしたら良いかを考えました。暗さの指標は、「照度」が最適です。実際に、照度計で水槽を測ったところ、結果は大きくバラツキ、暗さがどうか良く分かりませんでした。いろいろ
検討した結果、原因は、周りの光の影響を大きく受け、水槽内部の照度が変化し、更に照度計が水槽以外の部屋の明るさも計測してしまうためだと判りました。
そこで、それらの影響を防ぐため、入る光の量を一定にし、照度計が水槽の内部の明るさ
を安定して測れるように(写真⑧)のような計測装置を手作りし計測しました。
1.ダンボール箱内側に 「無反射植毛布」黒布を貼り暗箱化し、余分な光をカットする
2.水槽内部への直接入射光を、(1)水槽背面 と (2)上面LEDライトのみにする
3.余計な光を計測しないよう照度計にフードを付け、且つ、測定位置を固定 する
バックシートの種類と配置位置を変え、黒さ(暗さ)を測定
前述のように、照度はバックシートの配置位置で変わる事は想定していますので、 バックシートの位置を、以下のようにして
照度を測定しました。またその条件での見た目の暗さがイメージ出来るよう画像も貼付けました。尚、その画像では、水槽正面の
水中からLED光を当てています。測定種類は以下5点です。
1.市販品 背面のみ <外> (図1, 写真⑨-1 )
2.市販品 背面のみ <内> (図2, 写真⑨-2 )
3.太黒門 背面のみ <内> (図3, 写真⑨-3 )
4.太黒門一体型 背面 & 側面 <内> (図4, 写真⑨-4 )
5.太黒門一体型 背面/側面 & 底面<内> (図4, 写真⑨-5 )
照度測定結果を上記棒グラフで示しました。グラフのピンク系の棒が「市販品」で、青系は「太黒門」です。
市販品を背面外側のみに貼った場合、128luxありました。しかし、太黒門の内貼り方式では、はるかに暗くなります。
最終的に正面以外全てを太黒門で覆った場合、この照度計検出限界以下となり、数値は「ゼロlux」と驚異的な黒さ(暗さ)
になりました。
こうして出来上がった「太黒門」で作る究極の「暗黒トリックアート水槽」
こうして出来上がった太黒門暗黒水槽の中に、太黒門を巻き付けた台を沈ませ、その上にオブジェを載せれば、まるで浮いて
いるようなオブジェが出来ます。こうして宇宙・深海もイメージ出来る、トリックアート暗黒水槽が生まれました。
メダカの「色揚げ」に効果があるかも?
ところで、メダカ愛好家たちの間では、メダカの保護色機能を活用し、色を鮮やかにする「色揚げ」をされる方もいらっ
しゃるそうです。メダカの体色がより鮮やかになるそうです。エサを工夫したり、色の鮮やかなメダカ同士を掛け合わせて、
より鮮やかな色のメダカにする方式などあるそうです。
それ以外の方法として、「黒い(暗い)水槽で飼育する方式」がるあるそうです。真っ黒・真っ暗な世界一暗く・黒い太黒門暗黒水槽は、もしかすると色揚げ効果もあるかも知れません。どうでしょうか?
尚、本件について我々自身は確認試験をしていないため、はっきりとした事は分かりません。
世界一黒い布「太黒門」 購入ご希望の場合
さあ、皆さんも太黒門を使って、真っ黒で真っ暗な暗黒のトリックアート水槽を作って見ませんか?
どんなオブジェを使えば映えるのか試してみませんか?
メダカの色揚げも気になります。
このブログを読んで、「太黒門」を使ってみたいとお考えのあなた、是非アマゾンの販売ページをご覧ください。
2つのサイズをご用意しています。
・A4サイズ
・400×500mmサイズ
その他のサイズや、「太黒門の布の現品」以外に、水槽にすぐ使える状態での「太黒門水槽キット」(上写真)を購入ご希望
の場合、問合せフォーム、もしくは代表メールへご連絡ください。 詳細をご確認させて頂き、お客様のご希望に合った太黒門布
や水槽キットをご提案致します。「太黒門水槽キット」は、取付、取り外しが簡単です。
メールアドレス;kopro@koyo-orient.co.jp
最後になりますが、今回ご紹介させて頂いた「暗黒トリックアート水槽」については、ある水族館の方や、観賞魚飼育品
メーカーの方々から、アドバイスその他大変ご協力頂き大変ありがとうございました。感謝申し上げます。
最後までお付き合いありがとうございました。
ではまた次回!コプロ技術・開発担当 ソッシーでした。
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