みなさま、こんにちは。暗素研のサクライです。
今回は、暗素研として日本分光(株)製の分光光度計V-780を今年購入してみて、とてもよかったのでそのことについてお話していきたいと思います。
暗素研は、可視光から近赤外までの光吸収素材を開発・販売しております。
その際、光の反射率を測定して評価しております。これまではコニカミノルタのポータブル測色計CM-25dを使用して初期評価を行い、正確な反射率は専門機関に測定依頼して確定していました。
光吸収の専門集団として、これではいけない、開発の初期段階や製品生産管理においても正確な反射率を測定していく必要があるとの考えで、分光光度計を今年の二月に導入しました。
導入したのは日本分光(株)製のV-780。こちら、190nm~1600nmまでの可視光から近赤外の反射率が測定できる分光光度計で、透過率も反射率も測定できます。暗素研では黒に近い部分、低い反射率を測定することが多いので、ダーク測定でゼロをきちんととれることも採用の決め手の一つになりました。それから、Labsphereの反射率データ白板を購入して、こちらを使って測定した相対反射率を絶対反射率に変換して運用しています。これまでの専門機関での測定でも、反射率は絶対反射率に変換したデータをいただいており、弊社の公開データは絶対反射率となっています。これまでのデータとの整合性も取れた形になっております。
今回、分光光度計を買ってみてよかったと思える点が三点ありますのでそちらについて言及していきたいと思います。まずは三点について以下に示します。
①可視光から近赤外まで測定できて開発スピードが向上した
②反射率も透過率も測定できて、開発の幅が広がった
③安定した生産の品質管理に貢献している
では一つずつ見ていきましょう。
①可視光から近赤外まで測定できて開発スピードが向上した
これまで暗素研では可視光はコニカミノルタのポータブル測色計CM-25d、近赤外は別の簡易的な装置を使って反射率の測定を行い、開発を進めてきました。小さな組織ですので、なるべく費用をかけず開発を進める上でこれらの測定装置は有効でした。しかし、最終的には専門機関に測定を依頼する必要がありましたし、可視光と近赤外で同じサンプルを別々に測定しなければならないという欠点もありました。今回、日本分光(株)製のV-780を導入したことで、一つのサンプルに対して一度の測定でデータを取ることができ、開発スピードがUPしました。特に現在発売準備中の黒色絨毯に関してはこの分光光度計が威力を発揮してずいぶん開発がスムーズになりました。
②反射率も透過率も測定できて、開発の幅が広がった
弊社の光吸収素材は主に反射防止材として活用されています。そのため反射率の数値を測定していくことが基本となりますが、お客様の問い合わせとして、光の透過率に対するご質問をいただくこともございます。V-780はもちろん光の透過率の測定も可能なので、こられの問い合わせにお答えすることも可能となりました。また、波長による光の透過率を制御する、例えばバンドパスフィルター的な製品の開発にも、将来的には活用していければと考えています。
③安定した品質管理に貢献している
弊社素材は、塗料、布、ポリウレタンシートと多岐にわたっています。その多様な品目の品質管理はかなり難しいところがありました。例えば赤外線吸収素材などは一見してでは性能がわかりにくいため、品質管理が難しいことは分かっていただけると思います。それぞれロットごとの反射率を測定してデータを蓄積することで、赤外線吸収素材でもバラツキを抑えることができるようになって、品質の向上に繋げることができました。
これらの三点から、本当にV-780を導入してよかったと思います。
反射率データ添付サービスも検討中
さらに言えば、このV-780を使用して新たなサービスを始めようというアイデアもあります。弊社素材のデータ反射率データ添付販売です。例えば、米国のLabsphereでは反射率データを添付した白板などを販売しております。弊社素材の低い反射率の正確なデータ、欲しい方もいると思うのです。もし是非欲しい、などというご意見ありましたらコメントいただければ、実装急ぎますので、お願いいたします。
将来的には、お客様から測定してほしい素材の反射率を測定するサービスなども検討しておりますので、同様にコメントでご意見いただければ嬉しいです。
それでは今回はこの辺で。
暗素研のサクライでした。

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