皆様こんにちは、世界一のブラック企業、暗素研の鉄平です。
弊社は無反射の黒色素材を開発販売し、光の反射にともなう問題の解決と、アートに使える美しいブラックを提供しております。なお、有給消化率は高めですのでご安心下さい。
弊社の代表的な製品、世界一黒い水性塗料「真・黒色無双」
夏。じりじりと照りつける太陽光…にも含まれる近赤外線が本日のテーマ。近赤外線とは、目に見える光の波長から少し外れた、750~2500nmの光です。
可視光に近い波長域であることから性質が似ており、通常のデジカメなどの機材を改造するだけで、一部の近赤外域を撮影することもできます。
さて、この近赤外線。モノの判別に非常に役に立つ時があります。下の画像を御覧ください。
私達の製品紹介ページで使われている写真ですが、向かって左が「無反射植毛布」で、右が「近赤外吸収植毛布IR1500」という製品です。
2つは同じレーヨンの植毛布で、ほとんど同じ厚みと手触り、そして同程度の黒さという特徴を持っており、見た目には全く判別ができません。さて、どうやって見分けましょう。
これを750~1000nmに感度のある近赤外カメラで見てみますと…
Oh、これで簡単に見分けが付きます。
そう、素材間で可視光では違いがわからなくても、近赤外域では異なった光の吸収、反射をしており、それによって物質が判別できるということがあります。
Youtubeでわかりやすい動画を見つけました。ソニーさんの近赤外センサーの紹介ビデオです。近赤外線を使った水濡れ部分の可視化や油と水の判別、異物検査などの事例が紹介されていますので、是非御覧ください。
長くなりましたがここからが本題。光学機器のフレームにはよく黒アルマイト加工が施されたアルミ素材が使用されています。軽くて丈夫、表面もマットブラックということで、光の反射も抑えられる優れた素材です。例えばステージのベースプレート用として、このように販売されています。
一つ購入して見ましょう、ポチッと。
そして到着したのがこちら。比較のためにサンドマット表面の黒PETと並べて撮影しました。ちょうど同じくらいの反射率。全反射率でいうと5~6%といったところです。
しかし、先程の近赤外カメラで見るとこの通り。
可視光では同じ程度の反射率に見えましたが、近赤外では黒PETフィルムよりも明らかに反射して見えます。もしかして、黒アルマイトは近赤外の反射防止に効果が無いのではないか!?このアルミプレートを研究所に送り、各波長での反射率を測定してもらいました。
結果は驚くべきものでした。可視光域は当初の予想通り5%程度の反射率でしたが、可視光の上限の700nmを超えたあたりから反射率は跳ね上がり、多くの近赤外域で80%を超える非常に高い反射率となっております。もし近赤外を使用した光学機器の部材として黒アルマイトを使用してしまった場合、この反射率では迷光の原因となってしまいます。皆さまご存知だったでしょうか…?
さて、対策としてご提案するのが、弊社のファインシャットSP!カーボンを混合した微細発泡のポリウレタンシートで、0.2mm~の驚異的な薄さながら、可視光、近赤外ともに大変優れた光吸収性能を持っております(写真参照)。
加水分解も無く、耐摩耗性に優れ、単一のスポンジ素材なので植毛のような発塵リスクも少ないという、光学機器の反射防止部材として最適な製品です!
両面テープをラミネートしてシール形態で販売しておりますので、こちらを先程のアルマイトのプレートに貼り付けてみましょう。
使用いたしますのは、
ファインシャットSP0.2 /薄型テープ(GIC8616UJ)
こちらを、貼るベースプレートより一回り大きめのサイズで用意します。
ファインシャットの厚みは2種類選べますが、光吸収性能は基本的に同等です。お好きな方をどうぞ。両面テープも標準と薄型の2種類用意してありますが、今回の貼り方の場合薄型テープをお選び下さい。
そしてハンダゴテの先が刃になっている、ホットナイフというやつです。
1000~2000円で売っています。揃ったところで早速貼っていきます。
まずはファインシャットの離型フィルムを剥がします。実はこれが結構大変。テープの粘着力が強く、また極薄のPETフィルムなのでコシが無く、剥がすきっかけ作るのが大変です。指の腹でファインシャットの端面を撫でるようにして、なんとか剥がして下さい。
剥がすことができたら、気泡が入らないように貼っていきます。アルミがマット地なのでそれほど難しくないです。
お次ははみ出した部分のカット。これホットナイフがあるとラクラク。アルミの端面に沿わせて刃を当てるだけで、簡単に切れていきます。中の穴も同様に刃を穴の縁に当てて、プレートを回していくことでキレイに切っていくことができます。
オーマイガー!肝心な完成品を撮影するのを忘れてしまいました。
これは黒さの比較できるよう、半分だけをファインシャットを貼り付けたものです。これでも仕上がりは分かるでしょう。端面も穴も、不要部分をキレイに処理できています。グッド!
赤外カメラで確認しても、バッチリ反射防止対策ができております。
動画の方がわかりやすいっすね、どうぞ!
以上、黒アルマイトの近赤外反射についてと、対策としてのファインシャット貼り付け方法をご紹介させていただきました。
お持ちの光学機器のステージ反射が気になるという方、ぜひご検討下さいませ。
ただしファインシャットは有機溶剤に大変弱く、アルコールなどが付着すると膨潤し、劣化の原因となります。清掃の際はご注意下さい。
ファインシャットに油分が付着した場合は、石鹸や中性洗剤で洗うことができます。よく泡立ててすすぎ、乾燥させるようにしましょう。
長くなりましたが、これにて本ブログはおしまい。皆さまの反射の問題が解決するよう祈っております。
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