あなたの知らない反射率測定の世界

みなさま、こんにちは。暗素研のサクライです。

われわれ暗素研では素材の黒さについて、光反射率もしくは光吸収率で判断しています。今回は、知っていそうで意外と知らない光反射率【光吸収率】について、光を操るブラック企業、暗素研が解説していきたいと思います。

 

そもそも光ってなに

そもそも光とはなんでしょう。太陽光、蛍光灯の光、LEDの光、その他いろいろな光がありますね。

光とは電磁波の一種です。太陽などから出ている電磁波のうち、人間の目で感じることのできる360nmから830nmのものを可視光線と呼びます。これが光です。目に入る光のうち、波長の長さによって知覚される光の色は異なり、波長400nmでは紫、450nmでは青、550nmでは緑、630nmでは黄色、700nmでは赤といったように感じる色が変化します。この範囲の波長の電磁波は固体や液体に当たって反射しやすい性質を持っており、それに対応して生物の眼が進化して可視光と呼ばれる電磁波を「見る」ことができるようになったというわけです。

Wikipedia 「可視光線」より
Wikipedia 「可視光線」より

黒は光がない状態

黒とはなんでしょうか。それは光が人間の可視領域全帯域にわたり感じられないことをいいます。完全な黒い物体とは、光の反射が0で、全ての波長の光を吸収する物です。現実的には反射が0の物体は存在しませんが、われわれ暗素研は、日々反射の小さい素材を探し・作り出し、限りなく反射がゼロに近い製品を世の中にお届けする研究を続けております。

 

光の入射、反射、吸収、透過

では、われわれ暗素研が開発の指標とする光反射率、これはどのように測定しているのでしょうか。まず物体にぶつかった光がどのように分解していくかを考えます。物体にぶつかった①入射光は、物体から反射する②反射光、物体に吸収される③吸収光、物体を透過する④透過光に分かれます。

不透明の物体の場合、透過光はないものとして考えることができるので、われわれの取り扱う素材については、「入射光」=「反射光」+「吸収光」として考えます。つまり反射光を測定することでどのくらい物体が光を吸収したかわかるということです。

反射光の成分

ここで、反射光にも種類があることを解説していきたいと思います。反射光にはA.正反射光(鏡面反射光)とB.拡散反射光(乱反射光)があり、それらをあわせたものを全反射光(正反射光+拡散反射光)と呼びます。つまり、

全反射=正反射+拡散反射

とあらわせます。

正反射光とは入射角と反射角が反射面に対して等しく反射する光のことをいいます。一般的に、鏡、光沢や艶のあるものは正反射の特性を強く持っています。拡散反射光とは、入射光が反射面で乱反射し様々な方向へ反射される光のことをいいます。一般的に、表面の粗いもの、光沢や艶のないものは拡散反射の特性を強く持っています。

 

全光線反射率の測定方法について

さて、この全光線反射光をすべて測定することで、入射光との割合で反射率を計算することができます。これを全光線反射率と呼びます。

反射率=全反射光/入射光

測定には積分球付属装置を使用します。積分球とは、内壁に高反射率素材が塗布された球のことです。積分球へ導入された光は球内で反射を繰り返すことで、均一な光になります。この光を検出器で検出、対象サンプルの場合を反射率100%として試験サンプルの反射率を測定できます。

暗素研では、全光線反射率を測定して、100%-「全光線反射率」=「吸収率」として、黒さの評価を行っています。

ちなみに、サンプルへの入射角はサンプルに垂直な線から何度かを示しています。

 

紛らわしい反射光表記

ここで注意いただきたいのは、「正反射率だけをもって反射率として表記する記述も多い」ということです。正反射率の表記では拡散反射率が含まれていないので一見小さい値であり、とても黒いもののようにデータ上は見えることもあります。しかし、本当に目で見た黒さは拡散反射を含めた「全光線反射率」によって議論するのが正しいとわれわれは考えています。

 

まとめ

今回は、光反射率【光吸収率】について、光を操るブラック企業、暗素研が解説しました。

光反射率【光吸収率】は黒さを表す指標の一番わかりやすいものだと考えています。

この記事がみなさまの黒への理解の一助となること祈って、終わりにさせていただきます。